スタンバイ・スマイル:摂食障害
2020-01-01T21:57:56+09:00
palmarosaK
影山なお子 ブログ
Excite Blog
摂食障害のクライアントへの最大の治療は「聴く」ことである。
http://palmarosa.exblog.jp/5680013/
2007-06-25T01:50:00+09:00
2020-01-01T21:57:56+09:00
2007-06-25T01:50:27+09:00
palmarosaK
摂食障害
第167回栄養士ブラッシュアップセミナーは、
埼玉社会保険病院名誉院長でいらっしゃる、
鈴木裕也(すずき・ゆたか)先生のご講演を拝聴いたしました。
「摂食障害を治してほしいのです」と、
栄養士に直接おっしゃるクライアントはいらっしゃらないとしても、
食事相談を担当させていただくうちに、
「わたし、摂食障害だったんです」とか、
「いま、実はそういう状態なんです」とかとおっしゃる方に
お目にかかることがあります。
そのようなとき、
栄養士の対応とは、
以前からもっと詳しく知りたい……と思っていました。
鈴木先生のご著書、
『彼女たちはなぜ拒食や多食に走る』(女子栄養大学出版部発行)は、
いまから20年前に出版されました。
そのご本をきっかけに、
先生のお勤めになる病院に
全国から患者さんが殺到されたそうです。
わたしが拝読したご本は、10年前に出版された、
『拒食、過食のながいトンネルをぬけて』
(女子栄養大学出版部発行)。
先生のご本やお話には、すべて温かいものを感じます。
誰を責めるわけではなく、
こうしなければというものでもなく、
いろいろの事例をお示しいただくことで、
評価は読んだ方に委ねる……。
パワーポイントの画面には、全国から届いたという、
1000通以上のお手紙が映し出されます。
ある方は、下剤を1回に50~100錠服用、
吐きやすいようにと、水を3リットル飲む方……。
「助けて……」という悲鳴にも似た叫びが伝わってきます。
これらのお手紙に、
先生は、すべてお返事をだされたそうです。
体重が回復するほど辛くなる現実……、
同級生が大人にみえる、友達とうまく話せない、
いろいろの摂食障害の方々の症例について拝聴します。
先生はこうおっしゃいます。
「ダイエットのしすぎで拒食症になるのではありません。
間違った考えがまだまだ根づいています」
そうなる理由はさまざまであることもお示しいただきます。
人間関係、部活、家庭環境、そして脳のシステムによる問題であること……。
「栄養士さんや看護師さんや女医さんも多く診ました。
圧倒的に、女性が多い病気です。
昔は、学校の先生の娘さんに多かった」とおっしゃいます。
研修終了後、栄養士さんからの質問の1つ。
「わたしたち栄養士は治療ができないので、
その対応が難しいのですが、
先生はどのようにお考えですか」
「摂食障害の患者さんの治療で一番必要なのは
聴くことです。薬は補助的なものでしかありません」と先生。
現状を認め、社会復帰(ソーシャルスキル)リハビリのサポート、
つまり、後押し型サポート……。
聴くことが最大の治療になる……。
「サポートする医師のなかには、
患者さんに手を貸すと、自立できなくなる、という
誤った考えを持つ人もいます。
誰も頼る人がいない人に、自立させよう、自立させようと
することで悪化させてしまうこともあるのです」
「患者さんが依存しすぎるってことはないのでしょうか」
とうかがうわたしに、
先生は……、
「依存しちゃ悪いのですか。
人は依存しあいながら生きていると思います」
というお言葉にハッとしました。
栄養士としてどのようなサポートができるか。
カロリーの高いコンパクトな食品を紹介する?
患者さんは、「太る」と思って吐き出してしまう可能性大。
栄養の偏りなく、「1日3食食べましょう」と伝える?
→栄養士の特権をふりかざすと、離れてしまうでしょう。
いま、食べているもの、それが菓子パンだろうと、
なにだろうと、その現状を認め、
まずは食べることができること、そのことに共感する。
「食」だけを見て、サポートすることはNG
と先生は強くおっしゃいます。
セミナー終了後の懇親会でも盛り上がっています。
「栄養士さんはお酒に厳しすぎない?」と
先生が栄養士に問いかけます。
「患者さんのなかには、
毎日1本ワインをあけている人でも肝機能は全く問題がない人もいる、
毎日焼酎を飲んでいる人でも、
全く肝機能はきれいな数値です、
それでもアルコールは飲んじゃいけませんって言えます?」
いまから20年以上前から、
「指導」ではなく、「支援」を継続してこられた先生。
その当時、そういう考えの医師や病院はほとんどなかったとおっしゃいます。
先生のお話をいま、
タイムリーに、おうかがいできたことは、
本当にラッキーでした。
そして、わたしたち栄養士ができることを
あらためて考えさせていただくことができました。
栄養士として、
もっともっとお役にたちたいと思っていること、
そのことに、たくさんのヒントをいただいた
ご講演となりました。]]>
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