航空会社に入社して2年目のその年に、
別の部署のアメリカに留学経験がある知人に呼ばれました。
「○○便でご一緒した、外国人操縦機関士の方覚えてる?
その人が、一緒に中華街であなたとお食事をしたいんですって」
入社して、まだまだ自分のことしか見えていないその時期に、
突然のお申し出。
「え?誰? ど、どうしよう?」
当時、パンアメリカン(パンナム)航空の
外国人操縦機関士と会社が契約し、
ご一緒していたフライトが数便ありました。
「とりあえず、お友達を誘って気軽に
お食事にでも行ってみたら?英語できない?
問題ないわ。待ち合わせは6時に駅ね」
と知人にあっさり言われ、寮の同期を誘って、
JR関内駅で待つこと1時間。携帯電話がない当時……。
「レディを待たせるなんて、失礼だわね」とそのまま帰ることに。
翌朝会社に出勤して、その旨を知人に話してみると、
「あれ?石川町駅って言わなかったっけ?」
完全に私の勘違いだったのですが、
その後、お目にかかることはありませんでした。
そして、その人は、契約任期終了し、アメリカに帰国。
2年後、パンナムは倒産したというニュースが飛びこんできました。
そして、いま。
パルマローザオフィスの最寄り駅はJR石川町。
駅の改札をとおるたびに、
なんだか懐かしい青春が見え隠れするかのよう。
あのとき、この場所で待ち合わせていたら。
私の人生は違ったものになっていたのかも。
それはそれで、きっと、楽しい人生になっていたとは思うけれど。