「歩コム」歩きで北欧へ。

新型コロナウィルスの影響で、
ステイ・ホーム期間が続いています。

ここ横浜・元町にある、
ご近所のスーパー４軒では、

小麦粉やバター、クリームチーズが店頭からなくなりました。

オンラインで菓子や料理の食材を扱っている、
ある会社は、会員である私にも

「転売禁止しています」との

警告メールを送信してきました。

そう言えば、
大分県にお住まいの管理栄養士さんからも、

「大分のスーパーでは、小麦粉、パスタ、

　生クリームがなくなっています」

というご連絡をいただいていました。

いつも以上に小麦粉をお求めになった方々が
パンやケーキ、ホットケーキ、クッキーを

毎日のように焼いているのだとすれば、

好ましいことですが、さてさて？

横浜・元町で、

20年以上、地元の人に愛されている

元町名物「塩プリン」の店主

森田英子先生によると、

「甘いものを食べたくなったから

買いに来ました！

とおっしゃる方が多いですよ」とのこと。

確かに、
元町にあるケーキショップの多くが、
テイクアウトのみの営業をしているようですが、
どのお店も、
いつもよりお客が多いような印象を受けます。

ストレスの緩和策として、
甘いもの、辛いもの、お酒、

高価なものなどなど

刺激のあるものに向かう、

というのは、

食の心理学の事例として聞いたことがあります。

ステイ・ホーム中のお菓子作りが
たとえ、ストレス緩和法であったとしても、

それがきっかけで、

お菓子作りの楽しさを思い出すことになれば、

世の中、悪いことばかりではない、

と言えるのかもしれません。

話は変わりますが、
先日、横浜元町の老舗・ブティックのマダムから
お招きをいただき、
大桟橋近くにある老舗レストラン
「スカンディヤ」で
友人の栄養士と２人で
お食事をすることになりました。

神奈川県川崎市の住まいから、
横浜・元町に引っ越しをして17年。
研修などで横浜にお出でいただく
各地の栄養士さんがたをお連れして、
よくお伺いするお店の１つ、
それが老舗《ミナト貿易》。
セレクトショップで、
年配の方にはとくに人気のお店。

ここにおいでになるお客様は、
「マダムに会いたい」
「マダムと話をしたい」
という方が多いとか。

「買わなくていいから。　
　私はみなさんが来てくださる、それだけでいいの」
と、毎回おっしゃってくださるマダム。

ときには、気に入ったものを買おうとすると、
「前に、似たようなのを買ったんじゃない？」
「たくさん持っているんだから、
（買わなくても）いいんじゃない？」などと

「買わせない」ブレーキをかけ続けます。

それでも気に入って購入すると、
清算のときに「ごめんなさいね」と。

買ったお客にお詫びをするお店、
世界中を探しても少ないのでは？
「買わなくていいのよ」

「ただ、寄ってくれればいい」
「今度、旅のお写真見せてね」
「毎回フォトブックをつくっていらっしゃるの？　
　みなさんの分も？」
「お料理教室では、どんなものをつくったの？　
　今度、教えてね」

毎回、そんな「問いかけ」してくださるので、
ほぼ毎日、歩コム（ウォーキング）の途中で、　
立ち寄って、ごあいさつをさせていただきます。

さて、お招きをいただいた
「スカンディヤ」のレストランのことを。
「スカンディヤ」は、
１階と２階に、それぞれレストランがあります。
１階はカジュアルなフロア。
２階はシックなフロア。

調度品は、店主がデンマークから運んだという
重厚感のあるものばかり。

このお店は、
店主の80代のマダムが、

デンマーク出身のご主人と２人で
55年前にオープンされたのだとか。

著名人たちにも
このお店をひいきにしている方が多い、とのこと。
そのマダムとも、

《ミナト》のマダムが、お引き合わせしてくださいました。

前菜の「スモーガスボード」は、
北欧のお料理ならではの
ニシンの酢漬け、キャビアたっぷりの前菜、
今まで見たことがないようなお料理の数々。

スープは、王道のじゃがいもの温かいスープ。
メインディッシュは、
「ステーキがおいしいわよ」
というマダムの一声で、
「ステーキ、レアで！」

今までいただいたステーキの中で、
これ以上ものはあったかしら？

デザートは、
元町マダムが「ここのスフレが大好きなの」と、
おすすめくださったスイーツを。

グランマルニエの洋酒がたっぷりしみこんだ、
アイスクリームのような食感。
でも、コシはしっかりとある。

このスフレをいただきながら、
《ミナト》のマダムから

元町に嫁いだ理由をうかがったり、
ブティックを開く前は、
海外のブランドもののバッグの貿易を
していた時代があった……

というお話をうかがったり、
タレントのイッコーさんは、
《ミナト》のマダムの２階にあった
美容院で修業をされていたことを教えていただいたり……。
（ちなみに、マダムのお姉さまが美容師の先生）

ご近所であっても、
なかなか、
こうしたおつきあいまでは、できないもの。

時短営業中ということで、
レストランが午後８時で閉店となった後も

話は尽きることなく、

私たちは山下公園を歩きながら、
ミナト・マダムのご自宅である、

山下公園に隣接するマンションにまで
お邪魔させていただき、
山下公園を上から見下ろす、すばらしい夜景を
堪能しました。

お招きいただいた私たち2人に、
「人生はあっというまよ」
「もっともっと冒険をしたほうがいいわよ」
「家にいるだけではダメ」
「旅はたくさんすべきね」

「外食も楽しまなきゃね。外食って勉強になるわよね。

盛りつけとか」

「最近の冷凍食品っておいしいわよね」

「いつも手づくりしています。というのもいいけれど、

世の中の便利なものを試してみないとね」

食後にいただいた
グランマルニエのスフレは、
メニューに載ってはいるものの、
マダムのご紹介がなければ、
生涯、味わうことがなかったデザート。

緊張が続く日が続きますが、
それらをすっかり忘れさせてくれるひとときでした。

ウォーキング、ブティック、
北欧料理、スフレ……

横浜にいながら、初めてのアングルで見る夜景、

それぞれは、

なんの関連もないモノやコトですが、

それらを結びつけてくれるのはヒト。

私は、

少なくともステイ・ホーム中は

小麦粉を買い急ぐ必要はないし、

パンやホットケーキを焼くときでもなく、

（お好み焼きやたこ焼きは、どうしょう？）

近隣、遠方の人たちとの結びつきや、
無人の海岸風景や花々を
心に焼きつける時間を大切にしています。