タイムスリップした昼下がり。

東急東横線、大倉山駅にあった寮に5年間住んでいました。
独身寮の窓から見える富士山を見ながら、
空港まで通勤していた頃を、
今日久しぶりに大倉山駅に降りて思い出していました。

その頃、寮生たちとよく食べにいっていたのが、
駅近くにあるビストロ。
ここのオーナーシェフが、
羽田空港にあるフランス料理の総料理長を
なさっていたということと、
1０００～1500円も出せばお腹がいっぱいになる！
寮生には、ありがた～い、
人気の馴染み深いビストロでした。

1人で切り盛りしているシェフは○十年たった今も同じでした。
あの頃と変わりなく、「よッ！久しぶり、元気？」と
カウンターに座る私に声をかけてくれる。

時間が思いっきりタイムスリップ。
「これからフライトなの」という話から
ある時は、仕事の悩み……などなど。
よく聞いてもらったものでした。

シェフ曰く
「そういえば、このカウンターで宣言してたよね。
私、明日で会社を辞めるんだって。
栄養士になるための学校に行くからって」

昔から知っててくれる人がいることはなんだか嬉しい。
その空間にいるだけで、
仲のよかった同期たちとの思い出でいっぱいに。

でも、１つだけあの頃と違うのは、
○十年たったそのビストロ、
連日満員だそうで、
カウンター越しでも、忙しそうで、
シェフとお話する時間がほとんどなくなっていること。

でもいいのかも。
お店をオープンしたばかりだったあの頃は、
お客さんが来ないから、思いっきり話すことができた。
でも、それでは店は続かない。
いま、お店が続いてくれていることで、
私たちは
その懐かしい場所に戻ることができるのだから。

小高い丘の上にあった寮は、いまはない。
でも、あの当時の思い出は、
ずっと自分の心の中に。
それを確認できただけでも安心できた
そんな土曜日の昼下がりでした。